豊橋と浜松のまちをガス灯で明るくし、人々の暮らしを豊かにしたい、そんな想いで1909年に豊橋瓦斯を、1910年に浜松瓦斯を設立。都市ガス会社としてスタートしました。
日暮れ時になると、脚立を持った社員がマッチを口にくわえながら街角のガス灯に点火して走る姿がみられ、その煌々たる明るさは街のシンボルとなりました。また、周辺を照らすその明るさに当時の人々は夢かとばかりに驚き、新文明を身近に感じて喜んだといいます。

明治末期にタングステン電球の普及により電灯が優位となってガス会社は難局を迎えましたが、ガスの用途は「灯用」から「熱用」に変わり、当社は、豊橋の名産品「ちくわ」工場や浜松の楽器製造工場、鉄道工場へ都市ガスを供給することとなり、地域の産業の発展に貢献するとともに、当社も発展を遂げました。

1943年、戦時中に浜松の飛行機工場建設に伴う都市ガス供給要請を契機に、豊橋瓦斯と浜松瓦斯が合併し、中部瓦斯（現・サーラエナジー）が設立されました。
戦後は、甚大な被害を受けた豊橋、浜松のまちの復興を支え、地域とともに成長を続け、人々の暮らしをトータルにサポートする企業グループへとその姿を変えていきます。
1959年、LPガス（液化石油ガス）の急速な普及に伴い、「地域社会の拡大、多様化に対応する」ため、LPガス事業に進出。1961年には、「中部液化ガス株式会社（後のガステックサービス、現・サーラエナジー）」を設立しました。
中部液化ガスの設立以降、「地域社会の開発に伴い、エネルギーを供給する使命を果たす」ため、様々な事業（※）へと進出し、現在のサーラグループの起源となる、中部ガスグループが誕生します。
（※）

1976年、豊橋がさらに発展することを願って、旧豊橋製造所跡地に中部瓦斯と中部液化ガスの本社社屋を兼ねた新本社ビルを建設しました。ビルの名称には多数の案の中から「ガスビルディングサーラ（通称：豊橋サーラ）」が選ばれました。1981年には「ガスビルディングサーラ浜松（通称：浜松サーラ）」がオープンし、現在でも豊橋と浜松それぞれの地域のお客さまに親しまれる場所となっています。
「SALA（サーラ）」は、Space（空間）、Art（美しさ）、Living（生活）、Amenity（快適）の頭文字から造られた造語ですが、イタリア語では「サロン、心の支え、団らんの場」などを意味します。地域社会がより深く交流し、明日の暮らしについて語り合う場所にしたいという願いが込められています。
1962年から続く謝恩ガス展は、豊橋サーラ、浜松サーラの誕生に合わせて、それぞれに場所を移し開催するようになりました。日頃の地域のお客さまのご愛顧に感謝するとともに、サーラグループの知名度アップを目的とした「ガス展」は、時代に合わせて形を変えながら現在でも各サーラプラザで毎年開催しており、地域のお客さまへの感謝の場として、恒例のイベントとなっています。

2019年、都市ガス事業を担っていた「中部ガス」とLPガス事業を担っていた「ガステックサービス」が１つになり、「サーラエナジー」として新たなスタートを切りました。これまでの「都市ガス」「LPガス」という会社別・商品別のサービス展開ではなく、お客さまや地域を起点に、総合エネルギー企業として、これまで以上に地域のお客さまニーズに応えていきます。
一般家庭のお客さまには、地域に根差したガス・電気等のエネルギーと暮らし・住まいに関する総合サービスを提供するため、地域販社（東三河・浜松・名古屋・静岡・関東）を設立し、お客さまのニーズにきめ細やかに対応できる体制をとっています。
2020年、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの実現を目標に掲げました。その実現に向けて、当社は地域の脱炭素化を積極的に推進しています。
2023年、豊橋供給センターの太陽光発電所で発電した電力を、豊橋駅前の本社へ自己託送し自己消費する取り組みや、浜松においては、地域全体の電力系統の効率化・安定化に貢献する系統用蓄電池事業に参入しました。
地域における脱炭素社会の実現を重要な課題と捉え、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指しています。